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放射線療法

概要・特色

放射線治療の歴史は古く、1985年のレントゲンによるX線発見の翌年にはX線を用いた治療が試みられています。放射線治療は外科治療、化学治療と並ぶがん治療の三本柱の1つです。がん局所に対する治療法の一つですが、手術と大きく異なるのは臓器の働きや形を保った治療が可能である点です。現在の臨床医学では生活の質を重視した治療が要求される様になってきており、侵襲の少ないいわゆる「切らずに治す治療」である放射線治療の重要性はますます高まってきています。ほとんどのがん(一部良性疾患を含む)が治療の対象となりますが、完全な治癒を目指す根治治療から症状緩和を目的とした緩和治療まで、がんの進行状況や患者さんの全身状態などに合わせた治療を行うことが可能です。放射線単独治療ではなく、手術や化学療法と組み合わせて治療する場合がよくありますが、その場合には診療科と綿密な打ち合わせの後に治療法を決定することとなります。欧米に比較しわが国では放射線と聞くと怖がる方がまだ多く見受けられますが、近年の放射線治療技術の進歩はめざましく、安全かつ正確な治療が可能となってきています。

外部照射

放射線治療の主体は外部照射です。外部照射とは、リニアックという治療装置を使用し体の外から放射線を照射する治療法です。X線や電子線でがんなどを治療する装置ですが、当院では2013年10月に最新のリニアックに更新し高精度治療が可能となりました。治療回数は目的に応じて様々です。10回~30回程度が多いのですが、治療台の上で動かずに数分間寝ておくだけでよく、痛みや熱感などを感じることはありません。

高精度放射線治療

1.画像誘導放射線治療(IGRT)

放射線治療技術の進歩はめざましく、近年安全かつ高精度な治療を提供できるようになってきました。治療を開始する場合、まず治療計画コンピューター(三次元治療計画装置)を用い、病変の位置や形をCTで確認しながら計画を立てます。
細かく治療計画を行うことができますが、実際に治療を開始する時と治療計画用CTを撮影した時の体位は全く同じではないので、若干ですが治療位置にずれが生じます。以前は照射野確認写真を撮影してこのずれを補正していましたが、最新のリニアックでは回転部分に位置確認用CTが装備されているので、CTを利用して治療位置のずれを補正することができるようになりました。

治療直前のCTと治療計画用CT画像を重ね合わせることによってミリ単位以下の精度での治療が可能となっています。このように治療直前あるいは治療中の患者画像情報を利用して治療する方法を画像誘導放射線治療(IGRT)といい、当院でも積極的に治療に応用しています。

2. 強度変調放射線治療(IMRT)

平成29年8月から強度変調放射線治療を開始しました。強度変調放射線治療とは、放射線の強度に強弱をつけ複数方向から(あるいはリニアックを回転させながら)腫瘍部分のみに放射線を集中させるコンピューター技術を駆使した治療法です。正常組織の線量を極力減らすことが可能となり、腫瘍制御率の向上や有害事象の軽減が期待できるようになりました。全ての固形腫瘍が治療の対象となりますが、主に前立腺癌、頭頚部腫瘍、脳腫瘍の治療に応用しています。

詳細は放射線治療科までお問合せください。

3. 定位放射線治療(SRT)

定位放射線治療はいわゆる“ピンポイント照射”ともいわれる治療法で、一度に大量の放射線を多方向から短期間に照射する技術法のことです。高齢の方や合併症により手術ができない方に対しても治療を行うことができ、手術に匹敵する成績をあげています。腫瘍の大きさや数等に制限がありますが、脳腫瘍や肺腫瘍、肝腫瘍などを対象として治療しています。肺腫瘍や肝腫瘍は体内で呼吸性に移動していますが、呼吸性移動対策技術も進歩してきており、腫瘍に限局した安全かつ確実な治療を提供できるようになってきました。

小線源治療

平成17年8月から、前立腺がんに対しヨウ素125小線源永久挿入療法を開始しました。これは、放射性同位元素の一種であるヨード125を小さな粒状の容器に密封したもの(小線源といいます)を前立腺に直接埋め込み、そこから出てくる放射線を利用して行うがんの治療法です。放射線の集中性に優れた治療法であり摘出手術に比べてより侵襲が少なく、かつ同等あるいはそれ以上の治療効果が期待できる優れた治療法です。放射線科と泌尿器科が協力しておこなう治療で、主に低リスクの前立腺がん症例を対象として治療を開始しましたが、外部照射を併用することによって高リスク症例でも良好な治療成績が得られており、現在は低リスクから高リスク症例まで積極的に行うようになっています。(当院泌尿器科ホームページも参照して下さい)。

アイソトープ治療

アイソトープ治療とは、放射性同位元素を体内に投与しておこなう治療法のことをいいます。

1.ストロンチウム-89:当院では平成20年4月から転移性骨腫瘍の一部に対しストロンチウム-89を用いたアイソトープ治療を開始しました。ストロンチウム-89は骨に転移したがんに集まりやすい性質があります。骨にがんが転移すると多くの場合強い疼痛を訴えますが、ストロンチウム-89から出てくる放射線には疼痛を緩和させる強い効果があります。

2.RI標識抗体療法:平成29年4月から放射性同位元素であるイットリウム‐90(90Y)とモノクローナル抗体であるイブリツモマブを使用したRI標識抗体療法を開始しました。CD20陽性の再発または難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫が適応となりますが、CD20抗原というたんぱく質に特異的に結合するモノクローナル抗体(イブリツモマブ)にキレート剤(チウキセタン)を介して結合させた放射性同位元素90Yから放射されるベータ線によりリンパ腫細胞にダメージを与える治療法です(当院血液内科ホームページを参照して下さい)。